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「森辺さん、ずっと居てくれたの?」 蘭は、ベッドサイドのテーブルのほうに身体を向ける。 「はい。何かあれば、すぐに病院にお連れしますので」 立ったままで言うと「座って」と上目遣いで言われた。 「そんな所に立たれていたら食べにくいよ」 蘭は少し笑って言う。 「そうですね。では外に出ております」 龍二が部屋を出ていこうとすると「待って」と声を掛けられた。 龍二が振り返ると蘭は心細そうな顔をしている。 「お願い、ここにいて」 その姿があまりにも儚げで、龍二は堪らない気持ちになる。 この人の為に何でもして差しあげたい、そんな気持ちが龍二の心に生まれた。 「分かりました。食べさせてあげましょうか?」 龍二が少しニヤリと笑うと「自分で食べられるよ」と蘭は恥ずかしそうに赤い顔を更に赤くした。
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