87人が本棚に入れています
本棚に追加
「森辺さん、ずっと居てくれたの?」
蘭は、ベッドサイドのテーブルのほうに身体を向ける。
「はい。何かあれば、すぐに病院にお連れしますので」
立ったままで言うと「座って」と上目遣いで言われた。
「そんな所に立たれていたら食べにくいよ」
蘭は少し笑って言う。
「そうですね。では外に出ております」
龍二が部屋を出ていこうとすると「待って」と声を掛けられた。
龍二が振り返ると蘭は心細そうな顔をしている。
「お願い、ここにいて」
その姿があまりにも儚げで、龍二は堪らない気持ちになる。
この人の為に何でもして差しあげたい、そんな気持ちが龍二の心に生まれた。
「分かりました。食べさせてあげましょうか?」
龍二が少しニヤリと笑うと「自分で食べられるよ」と蘭は恥ずかしそうに赤い顔を更に赤くした。
最初のコメントを投稿しよう!