プロローグ

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プロローグ

『ここの校則、変えてみませんか』  15年前、突如言われた言葉を思い出す。  にやりと笑うあの不気味な校長の顔も、楽しそうな声も、全部昨日のことのように頭に浮かぶ。  あの日から、それまでの見方がすべて変わった。  規則というものに窮屈さを感じ、なにかにいつも苛立ち、それでも誰かに理解してほしいと奥底で叫んでいた、中学生のあの日。  もがくことの格好悪さと格好良さを知った。    大人になるにつれて、忘れそうになる出来事。  それでも、忘れないように、今もがいている。   ***************************** 「美津」  そう言われ、顔を上げると見慣れた顔があった。 「結、久しぶり」  結は笑いながら、美津の隣に腰を降ろした。 「久しぶりっていうか、まぁ1ヶ月前にも会ったけど」 「そうだけど」  結は買ってきたカフェオレとコーヒーを選ばせた。  美津は迷うことなく、カフェオレを選ぶ。 「ありがと」 「それ、中学から好きだよね。飽きない?」 「全然」  美津はそう言い、美味しそうにカフェオレを口に含んだ。
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