7「河原の大将!?」

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7「河原の大将!?」

頑張ってとった魚はほとんどバケツから飛び出て全滅してしまいやり場のない恨みと落ち込みで愕然としていた麻斗。大きく立ち直れないほどのため息が漏れてしまった。 だけど炎天下の下、虚ろな目で川辺に目を向けた時、なぜか沢山の魚がこちらに押し寄せているのがみえた。 麻斗はしばらく状況を疑ってしまったがすぐに理由を察した。 向こう側の川で学生たちが騒いでいたからだ。釣りをしながら爆竹するなんて、非常識過ぎるにもほどがあると思うけど、そのおかげでこちらには今、好都合の状況というわけか! だいぶ暑さでやられてへとへとになっていた麻斗だったがこのまま手ぶらで帰っちゃうのもあじけなかったのだ。「日の光りの傾きからして、3時半をまわったころかな!」時計がなく正確な時間はわからなかったが、麻斗は意地をはり「もう少しだけねばって見よう!」と、疲れた足を持ち上げ、たもとバケツを手に川辺に走って行く。死んでしまった魚は申しわけないと思い川に戻したが、当たり前のように二度と生き返らなかった。 麻斗は向こう側にいる学生たちに見えない草に隠れた位置で、再びバシャバシャと魚を追いかけまわし始めた。結構大きなフナやコイが固まって泳いでいたけどすばしっこくて中々つかまえられない。 「ふう〜!だめだな〜!」動き回るととめどなく吹き出る汗が麻斗の体力をうばっていく。 麻斗「トイレ行きたくなってきたな!(-_-)」 日がまた少し傾き始めいつの間にか爆竹も騒ぎ声も向こう側から何も聞こえなくなっていた。もともと釣りを楽しんでいる感じじゃなかったし、する事なくなったから帰ったのかな? と勝手に安堵の笑みを浮かべている、麻斗。 けど、 なんか向こうのトイレに行くまでしんどいし我慢できないかもしれない!(-_-;) 麻斗はそうつぶき、しばらく考え込む仕草をすると、今だけごめんなさい!(>_<)といきなり草の茂みに寄りかかってズボンのチャックを降ろしておしっこを始めた… が! そのタイミング悪く「おい!」と荒く太い声が麻斗に向かって飛んできた。敵意剥き出しのようなその声! 我に返った麻斗は焦るように途中でズボンをサッと上げてると、こっちに歩いてくる1人の学生が麻斗をにらみながらさらに声を荒げてきた。 学生「てめえ、何さっきからずっと調子こいて人の島、荒してくれとんだ!ボケーッ!(# ゚Д゚)」 紛れもなく麻斗に、何かといちゃもんをつけてきていた学生だった。 麻斗はやばい!Σ(゚Д゚)と思ったが強い圧におされ身体が動けなかった。 どさくさにまぎれて魚たちが固まった麻斗の足の下をくぐるように流れのある向こうへと逃げていった。 f59ef487-cec6-447b-80cb-e50bf473d483
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