9「恐怖!」

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9「恐怖!」

不良にザリガニを顔に押し付けられ無我夢中で突き飛ばして逃げた麻斗。川辺にばしゃりと尻もちをつき、お互いずぶ濡れ状態になってしまい、逃げる麻斗を不良が怒り狂ったような表情で追いかけてきた。だけど、麻斗は既に夏バテ状態であまり体力が残っていなかった。だから河原の堤防を登り切って逃げることが出来ず、ハアハアと息をきらしながら、「やばい、やばい!」と不良たちの目を気にしていけなかった小さなトイレの中に駆け込んでいった。 別の連れの学生たちもちらりと遠くで釣りをしている姿がみえたが、スマホで音楽を聴いたりいじったりするのに夢中になっているのか、こちらの事はほとんど気にも止めていない状態だった。 不良「てんめえ~!(# ゚Д゚)」 危機一髪、ずぶ濡れで追いかけてきた不良に捕まる手前で個室のドアを急いで閉めた麻斗。 ワンボックスで設置されているトイレは個室も一つしかなく、とても狭い空間で暑くるしい! 不良「おい!!開けろば~ろ~!(# ゚Д゚)」 追いかけてきた不良が個室のドアをガ~ンと思いっきり蹴り飛ばしてきた。 不良「どうすんだ、この服!めっちゃ汚れとるし!てめえ、マジなにしてくれとんの!」 ただでさえ切れやすい不良だったが、パニックの弾みで突き飛ばしてずぶ濡れにさせてしまった事が、さらに怒りに火をつけてしまう結果となってしまったのだ。 麻斗(僕、何した?なんで川でおとなしく魚とってただけでこんな・・・。(;´д`)トホホ) ずぶ濡れで肌にへばりつく衣類がうっとおしかったが、今はそれ以上に恐怖の状況に支配されていて鼻につく湿気臭い香りとか、とめどなく溢れる冷汗とか気にもとめれなかった。ただ、必死に震える手で中からドアをおさえるのが精いっぱいの状況だ。 トイレの中は、じめっとして壁中、悪趣味な落書きが不気味に目立っていた。 f0c443e8-33ce-4293-a4c7-ceffa5d98490
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