第十四章 スノードームの街 結

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 明智は、自分が集めた資料も持ってきていた。だが、それは、どちらかというと、赤のエンディングノートではなく、俺達の記録であった。 「本題に戻ろう…………」  西川は中学に入っても、入退院を繰り返し、次第に授業についてゆけなくなった。そして、誰もいない倉庫に逃げ込む事が多くなった。そこで出会った用務員は、西川の話しを根気よく聞いてくれた。  でも、そこで西川が気付いてしまった。 「用務員は子供が大好きで、学校に勤めるようになったと言った。だから、付近の小学校も回り、不便が無いか確認していると言った」  更に話を聞いていると、子供達が不満を漏らしていたので、ウサギと鶏を燃やして処分したと言った。 「…………犯人は用務員だったのか…………」  まずいと悟った西川は、自分がしてしまった話を振り返った。そして、上城の家の事を言ってしまっていた事を思い出した。 「この用務員は…………俺の母親を事故死させた」  母親は元の元気な母に戻っていて、もう問題は無くなっていた。しかし、西川が知っていた俺達の母親は、息子を忘れるような親だった。  用務員は、独特の観察力を持っていて、人の行動を読んでいた。そして、先回りして事故にならないように片付けた。その逆で、どうしたら事故になるのかも分かっていた。 「用務員には、罪の意識が無かった。ただ、達成したと喜んでいた」  西川は自分が伝えてしまったと、罪の意識で潰されそうになった。  だから、用務員に自分を助けて欲しいと頼んだ。用務員は、喜んで引き受けた。そうやって、行動を監視してゆこうとしたのだ。  しかし、その時点で、西川は赤のエンディングノートを用務員に見せて、説明してしまっていた。 「西川は実行させないように、見張っていた。でも、その反面、明日美に声を掛け、辛いのならば手を貸した」  そして、西川が病死しその遺体は隠された。そうする事で、赤のエンディングノートは生きていて、守護者という犯人も続行されてゆく。
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