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店にはテラス席もあって、注文が遅いと怒鳴っていた。
「あの、俺で良ければ手伝います」
「あ、ごめんなさい。いつもは、両親もいるのですが、父が腰を痛めてしまって、病院に行ってしまって」
俺は地方誌の記者という事になっているので、頼み易かったらしい。
「…………いいのですか?」
「いいですよ」
どうも、二人は姉妹で、父がぎっくり腰になったので、店を手伝っていたらしい。俺はエプロンを借りると、定食を運び始めた。
「あの、会計は出来ないのでお願いします」
「はい!」
定食が一種類で良かった。だから、注文された順番で運んでゆけば良い。
「はい、定食二つ。熱いので、ゆっくり食べて下さい」
定食は揚げ物があり、まだパチパチと音がしていた。料理をしているのは姉のようだが、中々揚げ物が上手だ。綺麗なきつね色で、こっちも腹が減ってくる。
「はい、定食コーヒー付き!おまちどうさまです!」
俺が定食を運んでいると、色々な人が声も掛けてきた。
「兄ちゃん、どっかで見た感じがするな……どこの人?」
「ああ、何かのキャラにそっくりだ!」
そこで、何人もが一気に俺を見た。
「本当だ、アニメにあったキャラに瓜二人だ。凄いな……コスプレしていないのに、そこに世界が蘇る」
「かっこいい…………というのか……凄い」
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