第二章 タイムカプセル 氷

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第二章 タイムカプセル 氷

 事務所に帰って、撮影した画像を確認していると、編集長に来客があった。 「編集長に来客ですか…………どこかの政治家だったような」 「政治家だよ。これが、俺がここに飛ばされた理由だ」  明智には意味が分かっていないようなので、少し、応接室を覗かせてみた。 「!!!!!!!!!!」  明智は言葉にならない叫びをあげていたので、俺は首根っ子を掴んで、外に出した。 「和泉さんは、築茂代議士の愛人だ」 「でで、ででも、男ですよ」  だが、和泉は築茂の愛人なのだ。それは、会社も気付いている。だが、有益な情報を得ているので、放置しているだけだ。そして、築茂の存在があったので、俺がここに来た。  他の政治家も、築茂の元に俺がいたのでは、どうにも出来ないからだ。 「…………男でも、和泉さんは愛人だ」  実際に、棚の隙間から中を確認しただろう。  和泉は築茂の膝に座り、服の中に手を入れられながら、キスしていた。それに、もっと良く見ていれば、和泉のズボンが降ろされていて、既に太い雄で繋がれていた。 「事務所を出てきたついでに、エンディングノートを探してみるか…………」  俺はポケットから手帳を折り出すと、電話を掛けようとした。しかし、その番号は、現在使用されていなかった。  俺がそのまま駅に歩いていると、後ろに明智が付いてきていた。 「嵯峨さんは、アスミさんと、どういう関係なのですか?」 「義理の兄妹だよ……明日美の姉の夢明(ゆあ)は妻だ」
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