第二章 タイムカプセル 氷

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「この倉庫は、冷凍庫になっている。主に輸入された魚を保管している」  この中で死体が発見されたのならば、死因は凍死だろう。 「こっちに来てみると分かる」  隣の倉庫に忍び込むと、俺は二階に上がった。すると、そこの小窓から、隣の倉庫の窓が見えた。 「この倉庫は、最近、持ち主が変わった。だから、中身の整理が行われたのだろう」  もしかしたら、受け渡しの為に掃除しようとしたのかもしれない。  持ち主が変わった理由は、経営が上手くいっていなかったからで、すると、中に在庫が大量に残っていた可能性が高い。その在庫を整理している最中に、死体を見つけたとしてもおかしくない。 「事件というのは、推測と想像なのですか?」 「まあ、近い。だから、推理して次の行動を決めてゆく」  そして、アスミが死んで十年近い。この十年という節目が、俺と宝生にとっても重要であった。 「そして、警察の会話を聞く」 「犯罪ですね」  ここで見つかった死体は、二体あった。一つは若く二十代前半、そしてもう一体は、四十代半ばあたりであった。  そこで俺は、又、宝生に電話を掛けた。 「宝生、多分、遺体は元教師の三原田 晋と、生徒だった神部 隆だと思う」 『良かった。赤のエンディングノートを探していたが、見つからなくて……内容を確認できなかったところだ』  警察でも赤のエンディングノートを探していたらしい。 『身元を確認する』  そして、電話が切れると、暫し考え込んでしまった。 「もしかして、嵯峨さんは、赤のエンディングノートを見ているのですか?」 「…………全部、暗記している」
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