第二章 タイムカプセル 氷

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 そういう視点で見ると、絵と着色がセットになって存在していると考えていい。 「嵯峨さんの奥さんは、年上なのですか?」 「いや、同じ年だよ」  すると、明智が不思議そうな表情をした。それはきっと、赤のエンディングノートは、明日美の時に埋められたもので、俺が読んでいる事が不思議なのであろう。 「あ、事務所に戻った」  まだ、築茂がいるようで、運転手付きの高級車が前に止まっていた。そこで、仕方なく、隣にある喫茶店に入った。  喫茶店の店主は、表に止められている黒の高級車をチラリと見ると、俺達を奥の個室に通した。 「ありがとうございます」 「又、昼はお願いね」  昼というのは、ランチの時間に手伝いに来いという事だ。 「わかりました」  喫茶店の奥にある個室に入ると、俺は倉庫の画像を確認した。 「赤のエンディングノートではなく、タイムカプセルに理由があって、それは元々、大人になるまで生きられないと言った、西川の手紙を埋めたものだ」 「西川さんは。明日美さんの級友なのでしょう?」  それは間違いではない。だから、タイムカプセルに明日美の私物が入っていると噂され、一年で掘り返されてしまった。 「明日美の級友だけど、俺達とも級友になる。西川は、中学二年の夏休みから休学してしまい、一年ダブった」  だから、タイムカプセルは、二年の時に級友だった者の有志と、三年の時に級友だった明日美達の分が入っていた。 「でも……嵯峨という卒業生がいない………………」  それは、よく調べたものだ。
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