第二章 タイムカプセル 氷

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「三原田はゲイだと言う噂があって、生徒に手を出していると警戒されていた。神部は二枚目で彼女が常にいるような奴で、チャラ男と当時は言われていた」  だから、三原田と神部が恋愛をするという事はないだろう。 「そうか…………死んでいたのか」  すると、もっと前から、赤のエンディングノートに警戒しておけば良かったのかもしれない。きっと、ただの失踪だと思い、誰も死んでいるとは思わなかったのだろう。  それに、三原田と神部を結び付けて考える奴もいなかったと思われる。 「抱き合わないと、扉を開けないとでも言われたのか……」  だから、愛を知らないのだろう。ただ物理的に身体を繋げる虚しさを、立体的に表現したようにも見える。 「他に記憶している事は無いのですか?例えば、嵯峨さんは何と書かれていたのですか?」 「それが…………俺達の事は、何も書かれていなかった。正確には、俺と宝生、夢明の事は何も無い。ページが破けているとか、抜けているというのも無かった」  だから、余計に犯人だと思われてしまうのだろう。 「まあ、俺は転校してしまったから、失念されたのかも…でも、俺の妻、夢明の事も無かったというのは不思議だった」  だが、不思議だったと過去にしたのには、理由がある。そのページには、理由も書かれていたのだ。 「まあ、宝生も書かれていなかったな……」  でも、それは宝生と書かれていなかっただけで、宝生らしき人物の事が書かれていた。
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