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「他に、ノートの中で死んでいた人物はいませんか?」
やはり、赤のエンディングノートの内容を確認してゆくしかない。
「いるよ……確認するにしても、警察と同行した方がいい」
俺は犯人と疑われているので、これで死体まで発見したら、完全に犯人にされてしまう。
「その……宝生さんは呼べますか?」
「あいつは、刑事だよ。死体があるかもしれないでは、来る事ができない」
この国の警察は、事件が発生しないと動けないのだ。
交番に相談するにしても、赤のエンディングノートという不審な物を信用してくれるだろうか。
店長がコーヒーを差し入れしてくれたので、飲もうとすると、金を支払っている築茂の姿が見えた。
「築茂さん、何の代金ですか?」
「お前等の居場所代だよ」
随分と分厚い札束で、どう見ても賄賂にしか見えない。
「その部屋と、一年分の昼飯代とコーヒー代を支払っておいた」
「一年も事務所に戻らせないつもりですか?」
まさか、ここで仕事をしろという事だろうか。
すると店長が渋い顔をして、こっちを見ていた。
「時々なら夕食と朝食も出せそうですよ」
律儀な店長は、部屋代などを見積もり、ランチの回数も計算したようだ。
そして、築茂が部屋に入って来ると、しっかりとドアを閉めた。
「ここには、カメラの類も、マイクも無い」
だから、安心して喋ってもいいと言うが、政治家を前に喋る事など無い。
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