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「和泉は、お前達が出掛けたので、そのまま抱いてきた。まあ、暫くは失神したままだろう。全裸で放置してきたけど、暖房は掛けておいた」
それは、優しいのか冷たいのか分からない行動だ。しかし、言い方は悪いが、和泉はそういう要員だった。築茂の接待の為に用意され、今も使われている。意外にも築茂は和泉を気に入っていて、地方誌だが編集長の席を用意させ、和泉の夢を叶えた。
「俺は、お前も和泉と同じだと思っていたけどな…………」
「違います」
俺は接待要員ではなく、単に飛ばされてきただけだ。その事は、築茂も承知している。
「しかし、いつ見ても夢の中のような姿だよな。絵の中から、そのまま出てきたみたいだ」
「お陰で、赤のエンディングノートの犯人とか、ノートの精とか言われていますよ」
赤のエンディングノートの精とは、どういうものなのか分からない。
「こっちは、要員でいいのだろ?」
築茂が、明智を眺めていた。それは、俺も否定できない。
明智は生まれも育ちも良く、素行に問題も無い。少し夢見がちな所はあるが、能力も悪くない。そして、見た目も良い方だ。
和泉の存在も、前は似たような感じだった。すると、築茂の好みに合致している。
「ああ、赤のエンディングノートを調べたいのか?警官を手配しておく……そうだな、名目は護衛にしておくかな」
俺がストーカーに誘拐されそうだとか、適当に言っておくらしい。
「お願いします!」
しかし、今から警官が来るほど緊急性がないとして、明日からにされてしまった。
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