第三章 タイムカプセル 光

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 世分は漫画家として、雑誌で連載を持っているが、そのキャラクターのデザインをしたのは俺であった。だから、俺も漫画が描ける。 「このページからか…………」  世分はストーリーと構図を指示しているが、絵がとても下手なのだ。そこで、俺が描いていたら、売れてしまったので、続けるしかなくなってしまった。 「ここは、もっと瑛人みたいな感じで頼む」 「俺は自分の姿が見えないよ」  世分は絵が下手だが、俺と千鶴だけは誰よりも上手に描ける。そこで、主人公だけは世分に描いて貰う事にした。 「背景とモブは、明日、スタッフに描いて貰ってください」 「そうします」  デジタルなので着色は楽だが、そこには世分の拘りがあった。 「…………ごめんな、瑛人。俺が絵を奪ってしまった」  俺が描いているとバレない為に、俺は自分の絵を描く事を禁じている。だから、映像の分野で、仕事を続けた。 「俺は、世分がいればいい…………」  俺が絵を描き続けていると、背中から世分が抱き込んできた。 「俺の可愛い弟……本当に可愛い」  この台詞は、妹の千鶴にもよく言っている。 「俺が死んだら、この家を千鶴にあげる。それで、著作権など知的財産は、瑛人に残す」  「死ぬなんて言うな…………」  俺は泣きたい気分で、世分を見た。  世分は身体が弱く、様々な病気を体験してきた。死に掛けた事も、何度もある。その度に、俺は、世分がいなければ生きてゆきたくないと、実感してしまうのだ。
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