第三章 タイムカプセル 光

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 これが、何なのか俺には分からない。  世分は予言しているのではなく、プロファイリングしていると言っている。そして、結果を導き出している。  俺は世分が、ミニ世界を構築し、見ているのだと思っていた。そして、世分の言葉は、俺には視るという感覚で伝わってくる。  五十嵐に犯された被害者少年の父親は、永久保のせいで、性犯罪が有耶無耶にされてしまった事に怒り、逆恨みする。  有耶無耶にするために公開したので、それは間違いではない。 「では、築茂さんから合図がきたら、公開する」 「築茂の所には、明智が行っている。特ダメを狙って、尾行したのだ。でも、築茂は気付いていて、家に招き入れて、自分のオンナにした。明智は、瑛人を見張るよう頼まれる。そして、常に瑛人を見張る。でも、それでいい、明智は常に、瑛人の無罪を証明する」  世分がいいと言えば、それでいいのだが、オンナにしたという響きは嫌いだ。 「世分、オンナって……」 「肉体関係を持っただけではなく、精神が変わってゆく。明智は築茂の愛を得ようと、尽くす」  でも既に、築茂には和泉がいる。 「和泉さんは?」 「和泉は、築茂の愛を勝ち取ろうと、タバコと酒を止める。そして無精髭を剃り、エステに通う。築茂は、綺麗になった和泉を、富豪にプレゼントする。和泉はその富豪と、死ぬまで寄り添って生きる。ある意味で、ハッピーエンドだ」  しかし、それでは俺の職場が無くなってしまいそうだ。
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