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「もしかして、編集長は明智になるのか……」
「そうだ。事務所は、築茂との逢引の部屋に変わる」
その頃には、俺は永久保の采配で、本社に戻っているらしい。
「まあ、大体は分かった。おやすみ、世分」
世分は、具合が悪く、意識が無くなりそうになると、俺の質問に答え始める。どうも、意識がある時は、うまくプロファイリングが出来ないらしい。
俺が世分の机に戻ると、築茂から連絡があったので、五十嵐について持っている情報を、全て永久保に流しておいた。
「俺は、世分を信じる」
特ダネよりも、身の安全を優先させろと言うのならば、それに従う。
俺が原稿を仕上げていると、ドアをノックする音が響き、上下ジャージに着替えた宝生が入ってきた。
「瑛人か。世分は、具合が悪いのか?」
「ああ、寝室で寝ている」
宝生は世分の恋人だが、俺とは親友のような関係だった。それに同じ秘密を共有しているせいなのか。とても他人とは思えず、自分の分身のようにも感じてしまう。
「明日、赤のエンディングノートにあった、山に埋められた即身仏を探してくるよ」
「気をつけて行け。俺が同行したいけれど、仕事があるからな…………」
長年、こんな生活をしていたせいか、宝生も一緒に原稿を手伝い始めた。
「宝生、こっちの犬を頼む」
「了解」
宝生も手が器用で、何故か動物を生き生きと描く。そこで、動物担当になっている。
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