第三章 タイムカプセル 光

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「…………赤のエンディングノートか……誰が、持っているのだろう」 「今度、世分に聞いてみろ」  俺達もタイムカプセルにノートを入れた。それは、寄せ書きのようなもので、今のメンバーが、それぞれの夢を書き、その夢に対して、世分がプロファイリングで道筋を示していた。  夢明の夢は、自分の店を持つ事で、その店は美容院でありながら、憩いの場になるような、何でもありの店だった。そして、その店に対して、千鶴と日菜子も加わり、より壮大な、女性専用の娯楽施設のような場を作ろうとしていた。  そのノートに、全員が家族になる夢を書いたのは世分で、今の生活が出来上がった。更に、俺の夢は映画を作る事で、世分が漫画家になり稼いでいるのは、その道筋の一つだった。  タイムカプセルが開かれた時、そのノートを宝生が回収してきた。人に読まれて困る内容ではなかったが、世分の能力に気付かれるのは困る。  それと、もう一つ、隠さねばならない事が、タイムカプセルには入っていた。それも、宝生が回収してきた。 「…………赤のエンディングノートのせいで、明日美の死が、又、話題になってきた……」 「ああ、俺も記事にしろと言われている」  明日美は夢明の妹で、嫌っていたわけではない。しかし、そこには困った事実があるのだ。 「明日美の日記は、燃やしてしまった方が良かった…………」 「だけど、夢明が形見だからと言って、大事に持っているから……」  宝生が慌てて回収してきたのは、明日美の日記で、そういう面では、タイムカプセルにアスミの私物はあったのだ。
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