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三つ目は宝生が書いたもので、恋を貫くだった。恋というのは愛も含めると言って、小さく愛という言葉も追加されて書かれていた。
「まあ、実際、貫いているから凄い」
樫山がしみじみと世分を見ると、世分が小さく手を振った。
小学生の頃から、宝生は世分が好きなのだ。当時、宝生に世分のどこが好きなのか尋ねると、生きている所と行っていた。ならば、世分が死ぬまで好きでいるしかない。
「四つ目が千鶴と日菜子で、二人で一緒に、嫌いにならないと書いた。何かこの時、大喧嘩したからな……内容は忘れたけれど」
「そうそう、それで、日菜子もケンカしたら仲直りしてと泣いて怒って…………」
日菜子は樫山の妹なので、その辺のところは記憶していた。
「千鶴も、話し合ってと泣いた」
それで、ここに嫌いにならないと書いた。
ケンカしないというのは、かなり不可能であったので、仲直りすればいいのだと考えたらしい。そして、どうしたら仲直り出来るのかと考え、嫌いにならなければいいと悟ったと言っていた。
「五つ目は樫山で、家族になろう」
かっこで注釈があり、幸せになろうと締め括っていた。
それぞれが当時の思いを綴ったもので、それが現在に繋がっている。
「樫山は、当時からませた子供だったよな」
「家の後継ぎという、重荷があったからな…………」
千鶴も一時期は、看護士になっていたが、この五つの誓いを思い出し、美容師へ転向した。
「ここ、外れるな…………」
コンクリートなのだが、亀裂が入っていて、綺麗に取り外せそうだ。でも、怪我をしそうなので、軍手を付けて、丁寧に引き抜いてみた。やや空洞が出来たが、元々、オベリスクの中は空洞だった。暗くて見えないが、少し、空洞が増えた所で、誰も気付かないだろう。
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