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「軍手か、用意がいいな」
「でも、器物破損だろ、コレ」
だから、軍手が必要だろう。そして、綺麗にパネルで隠し、元通りにしておいた。
「家に飾るか?」
「そうだな…………でも、こっちにもヒビが入っていて、割れてしまいそう」
割れるどころか、粉々になってしまいそうだった。そこで丁寧に持ち帰り、石膏で型を取って、新しいパネルにして飾る事にした。
「まあ、割れる前に来られて良かったな」
「そうだな」
ここに来ると、過去を思い出す。
俺達は過去を忘れようと思った事はない。しかし、時間の経過と、日々の忙しさで、思い出す事が無い。
「思いを埋めておいたという点でが、これもタイムカプセルだった」
ここを思い出す度に、かつての思いが蘇る。そして、大切な人を思い出すのだ。
「それでさ、樫山の言う家族は、瑛人だったのか?」
「…………ううむ、全員だったな」
不思議な家族が出来上がったが、樫山にとっては、それが設定通りらしい。しかし、子供がこんなに生まれた事は、少し想定外だったようだ。
「子供が…………瑛人が三人、樫山も三人、宝生が二人…………家族が増えたよな………………」
「稼がないと!」
そこで、世分が小さくガッツポーズをしていた。どうして、世分が意気込むのか分からないが、もしかすると、一番稼いでいるのは世分かもしれない。
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