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第六章 虹を織る丘 青
それは、俺が小学六年生の時だったかと思う。朝、学校に行く前に庭に出てみると、工事現場の柵が取り外されていて、そこに新しい階段が見えていた。
階段には色の線が入っていて、その青い線は、上へと登っていた。
その階段を登ってみたかったが、遅刻してしまうので、その時は諦めた。しかし、学校から帰るなり、俺は鞄を置いて家を飛び出した。
柵はまだ完全には撤去されておらず、中も工事中の部分があった。しかし、作業員の姿は無く、そこには視た事もない公園があった。
俺は家から続いていた青い線を辿るように登ってゆき、頂上まで駆け上がってしまった。すると、そこには銀色というより、鏡のような、様々な色を反射している柱が建っていた。
その柱も工事中で、付近には立ち入り禁止の柵があった。
「これは何だ?」
「オベリスクだと言っていた。オベリスクって何だろうな」
俺が一番乗りかと思っていたら、そこには既に少年の姿があった。
「宝生か?」
「そうだよ。俺の家の近くまで、白い線が伸びていて、柵が外れていたから、駆け上がってきた」
宝生は隣のクラスの生徒で、俺と同じ小学校であった。宝生は、真面目で優秀で、しかも見た目もいいので、俺のクラスの女子が騒いでいたので記憶している。
「俺の家の前には、青い線があったよ」
オベリスクからは、放射線状に五本の色が伸びていた。その東端が青で、その隣が白であった。
そして、桃色の線からは、目も覚めるような美少女が走ってきた。
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