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「飲料水のCMで、大人気になった。そして、あの商店街に人が押し寄せた」
狭い通路には人がびっしりと詰め掛け、加登理髪店は二年先まで予約で一杯となった。でも、地元優先だと、地元の人が来た場合は、その場で引き受けていた。
「苦情が出て、一時期、加登理髪店は営業できなかった。でも、通りには出店が出るほどで、夜も人で溢れた」
そのCMはシリーズとなり、更にドラマにもなった。
「だが、一発屋だった。それ以上のヒットが無かった。だから、アスミの、テレビ出演が途絶えた、しかし…………殆ど出なくなって半年後、コンサートが開かれる事になった」
そのコンサート会場は、ここからは少し離れている。
俺は現在の商店街や、公園を撮影すると、タクシーを捕まえた。
「まだ、車を持ってきていなくてさ…………」
「こっちに、引っ越しされるのですか?」
タクシーで向かった先には、今も公会堂があった。この公会堂は、最近、大規模なリフォームがあり、当時の面影が全く無くなっていた。
「コンサートでアスミは引退するとか……実は結婚報告だとか……色々なデマが飛び交い、意外にもチケットは売り切れた」
それは、アスミが純白のドレスを購入していたからだ。
そして、それが死に装束になってしまった。
「中には入れないみたいだ……」
中も改装されているので、後で撮影の許可を取っておこう。
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