第六章 虹を織る丘 青

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「そうか、兄貴、又、倒れたの?」  宝生の親は、職場で俺の家族の噂を聞いたらしい。 「そう…………意識が戻らなくて…………」  俺は二卵性の双子で産まれた。同じ年の兄、世分は生まれた時から病弱で、入院し続けた。そして、幼稚園も数か月しか通えず、ここに越して来てからは、小学校には一度も行っていない。 「元気になるといいな…………」  そこで、テルテル坊主に晴れを祈願するように、オベリスクに健康を祈ってしまった。  それから、互いの事を話していると、緑の線からも少年がやってきた。 「西川君?」 「あれ、夢明ちゃん」  やって来たのは、夢明の学校の生徒で、同じ学年の西川 佳介であった。 「…………すごいメンバーだね…………アイドルグループみたいだ」  そして、もう一度、自己紹介してしまった。 「上城君。お兄さんが世分で、瑛人なの?もしかして誕生日?」 「そうだよ。兄が一月七日生まれで、俺が八日生まれ。難産で、俺が生まれる前に日付が変わってしまったそうだ」  西川は背の低い、どこか青白い子供であった。しかし、知的な瞳で、真っ直ぐに俺達を見ていた。 「なあ、世分の意識が戻ったら、俺とクラスメートだろ?一度、見舞いに行ってもいいか?」 「いいけれど、意識が無いよ……」  俺は、今は簡単に行っているが、この意識が無いという台詞が言えるようになるまで、一か月はかかった。余りに辛過ぎて、言葉に出来なかったのだ。
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