憑き物探偵?いえ、ただのオタクです。

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 翌朝。いつもより早い時間に家を出ると、高校の近くにある河川敷に来ていた。吸い寄せられるように川のすぐ側まで歩き、スカートを履いていることなんて気にせず体育座りをする。そして、ただただ水面を眺めた。穏やかな水の音と小鳥の囀りが、胸の奥に浸透していく。  ここにくると、私は心を落ち着かせることが出来るのだ。普段は家に帰る前に寄っているのだけど……今朝、禿げている部分が広がっていないか確認しただけでは足らず、つい来てしまった。  はぁー、と溜息を吐くと、腕のなかに顔を埋めた。教室に、入りたくないなぁ。神様は、私みたいな何の取り柄もない人に追い討ちをかけて、一体何が楽しいんだろう? せめて平々凡々な日々くらいは守って欲しいよ。特別なことなんてないんだからさ。  そういえば、この川は鬼除川というらしい。おによけがわ、と読むのか、きじがわ、と読むのかは分からない。だけど、何となく頼もしさを感じて、いい名称だなとぼんやりと思う。思っていると、気づけば数十分も経っていた。土手を走る子供達の声が聞こえてきて、私も一緒に慌てて駅まで向かう。 「おはよ〜」 教室に入ると、誰も私を変な目でなんか見ていなかった。 よかった。私は、心のなかでそう何度も唱えた。
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