細い身が絡まり合い、一本の紐となる

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「冬なのに緑がいっぱいで素敵だなぁ……」 「春は桜、秋は紅葉の名所でもあるらしいよ」 「あっ、あの建物なんだろう?すっごく近代的でお洒落♪」 「授与所だって。御守りはあそこにあるみたい」  今日の神社参拝は何気に楽しみにしていたらしく、事前にネットで色々調べた僕に対し花ちゃんは「敢えて何も見ずに行く」と言っていた。だからこうして花ちゃんが目に入ったものを僕が補足を入れる形になってしまっているんだけど、並んで待つ時間潰しにはちょうどいい会話タイムとなっている。  ちょうど僕達に順番がやってきたので賽銭や願い事をし、また花ちゃんと手を繋いでお洒落な授与所へ行き、2人で仕事の縁を結ぶ御守りを買った。 「御守りのデザインもお洒落で可愛らしいね」 「うん、人気なのが分かるよ」  御守りの中央には独特な結び目で結ばれたカラフルな紐が飾られており、購入すぐにスマホで撮影している参拝客も見受けられた。 「今あるご縁が固く結ばれるといいね」  授与所を出るなり、満足そうに2人分の御守りをカバンの中に入れながら僕にそう言った花ちゃんに 「そうだね」  と僕も笑顔を向けながら同調したんだけど……。
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