花から求められる犬と、主人との約束

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* 「今日もお疲れ様」  1日の勤務を終えて事務室に入るなり白い犬耳と髪を外した僕を見て、樹くんが労いの言葉を掛けてくれた。 「うん……今日は特に疲れちゃったかなぁ」 (たとえ短い時間であってもイレギュラーなプレイは精神的疲労を起こしやすいんだな……)  疲れたけれど「ある意味勉強になった」と思うしかない。 「そんなので来週から4枠こなせるのかな?既に予約は埋まってきているんだよ?」 「それはちゃんと頑張るよ。先輩達に迷惑かけられないし、自分で決めた事だから」  定期試験が今日で終わったので、明日から4月頭まで大学は春休み期間となる。  1ヶ月半も暇になるのだからと、この期間だけ平日の予約枠を増やす事に決めたんだ。  予約枠を増やす件は以前よりご主人様から打診を受けていて、ケースケくん達先輩方の負担を減らせるなら……という訳で今回決めたんだけど、来週から3月末までの1ヶ月ちょっとという微妙な期間限定というのがまさに「大学生の春休み期間」ってのがバレバレだから、もう少し考えて増やせば良かったかな。と後悔した。 (大学生なのはご主人様に早い段階でバレてそうだし常連客のユリさんには年明けてすぐにバレているから完全な秘密にはもう既になっていないんだけど、基本僕の素性については内緒にしておかないと……)
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