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「失礼します。タブレットの返却に参りました……」
樹くんとクスクス笑いながら部屋をノックしてご主人様に呼びかけたんだけど、声どころか物音すらしない。
「あれ?静かだね」
「鍵は開いてるんだけどね。部屋の見回りしてるのかな?」
珍しい状況に僕は樹くんと顔を見合わせ、中から声のしないご主人様の部屋を開けた途端僕はビックリする。
「!!」
「あれ?太地くん宛ての紙袋?」
タブレットの充電場所にはバレンタインチョコの代わりに先月と同じ色や大きさのクラフトバッグが置かれており、ご丁寧に付箋で「リョウへバレンタインプレゼント」とご主人様の手書き文字で書かれていた。
「あっ!!本当だね!!チョコ食べなかったのご主人様気付いてたんだね!すごいなぁ!」
樹くんに中身が見えない様掴んで、隠すように手にすると僕はペラペラと早口でそこまで言い
「用事思い出したからもう帰るね!樹くんバイバイ!!」
「えっ?!太地くん??」
急いで充電器にタブレットを挿すなり、廊下を走って樹くんが追いかける前にエレベーターへ飛び乗った。
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