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「入浴剤は後で気が付いたんだ。『先月のより重いなぁ』と思って袋の中身確認して本当にビックリして……次回は受け取るの断るから!絶対!!」
言い訳みたいな説明と変な宣言みたいな事をした僕に、花ちゃんはクスクス笑ってくれている。
「フツーの入浴剤じゃなくて『とろとろ』がついてるもんね。『チョコレートの香り』って書いてあるし」
「……本当に参ったよ、もう」
顔の火照りを落ち着かせたくても僕が今飲んでいるのは温かいミルクコーヒーで、正直気持ちのやり場に困っていた。
(花ちゃんはこんなものを持ち帰った僕を変な風に思ってないのかな?ゴムの箱だけじゃなくてとろとろ入浴剤まで入っているし……。
まさかあの商品も花ちゃん知ってるヤツとか??ゴムのショップサイト閲覧してたくらいだからあり得るっちゃあり得るけど)
「お家帰ろっか♪手を繋ごう♡」
缶の中身が無くなったのを確認した僕の隣で、花ちゃんが可愛らしく誘う。
「そうだね、手を繋ごうか……花ちゃん」
「うん」
街灯の白色光と花ちゃんの白い吐息がふんわりと混じりスッと消えていくのが見えて……。
「もう僕の手……温まったと思うし♡」
「うん♡」
オイルほぐしをするリョウの指のように、目の前の愛する人をやわらかな温もりで癒してあげたいと強く思った。
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