48人が本棚に入れています
本棚に追加
「公園で温かく過ごすのっていいもんだね。太ちゃんとデートしてるみたい」
いつもより遠回りにはなるけれど、静かな夜の住宅街を花ちゃんと手を繋いで歩くのも悪くないと感じる。
「そうだね、デートみたいだ」
(日中こんな場所で姉弟が手を繋いで見つめ合っていたら……)
僕達の関係を知る人は多くないのだから、そこまで気にしなくて良いのかもしれない。
(でも、皆が寝静まったこの時間なら……)
日中よりも深夜の方が僕達にとって都合が良い。
余計な事を考える事なく花ちゃんと恋人らしく居られるのだから。
(花ちゃんが「公園で僕との時間を過ごしてみたい」って言ってくれてすっごく幸せ♡)
こんな夜中に花ちゃんが1人で深夜の公園で僕を待つなんて危なっかしいと最初にその提案を聞いた時は不安でたまらなかったけれど、これから春になっていくし夜の公園デートや散歩を日課にするのも素敵だと思った。
「太ちゃんはこの春休みバイトをめちゃくちゃ頑張るわけだし、これからは私がこうやって迎えに行ってもいい?」
繋ぐ手をギュッと強く握られたと思ったら、花ちゃんが上目遣いで僕を見つめて可愛らしくお願いしてきたから
「勿論だよ。大雨とか天気が悪くなければ、毎日でもこうして花ちゃんと帰りたい」
僕も素直な気持ちを込めて返事をした。
最初のコメントを投稿しよう!