花から求められる犬と、主人との約束

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「本当?遠回りになるけど平気?」 「うん、帰りは大体バイトの先輩と帰るんだけど、先輩とバイバイしたら公園へ寄ることにするよ」 「面倒じゃない?」 「ううん、全然。花ちゃんと夜の散歩デートしたいなって思うから」  正直、夜間に花ちゃんを出歩かせる事への心配はある。  でも住民が寝静まったこの時間帯にしか出来ない散歩デートを楽しめるのであれば、ちょっとだけ花ちゃんの好意に甘えようと僕は思った。 「あ、そうそう♪今日の夜食はね、水餃子にしたんだよ!」 「この前買った冷凍食品の水餃子、まだ残ってたっけ?」 「実は私が皮から作っちゃいました〜♡」 「花ちゃん凄すぎない?皮から作ったの?!」 「私は夕食に食べたんだ♪モチモチで美味しかったよ〜!太ちゃんに早く食べさせてあげたい♪」 「わ〜♡それは早く帰って食べてみたい!!」  だってこの瞬間も、幸せで幸せでたまらなくて…… 「じゃあ太ちゃん、走っちゃう?」 「走っていいの?花ちゃんを置いてきぼりにさせちゃうよ?」 「私だって走れるもんっ!50メートル走10秒台だったけどっ」 「遅いじゃん!いいよいいよ歩いて帰ろう♪」  今日の一回きりにするなんて、寂しすぎると思ったから。
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