花から求められる犬と、主人との約束

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 帰宅ルーティンを済ませてダイニングテーブルに着くと既にホカホカの水餃子鍋が用意されていて、中華スープな香りに腹の虫が鳴る。 「春に入ってきたから小鍋はそろそろ終わりかなぁとは思ったんだけど、この時間はまだ寒いもんね」 「毎日僕の為に夜食作ってくれてありがとう花ちゃん♡しかも今日は皮から作ってくれて幸せでたまらないよ♡」  いただきますの仕草をしながら花ちゃんに笑顔を向けて感謝の言葉を言ってみるものの (そういえばなんで花ちゃんは突然皮から餃子を作りたいなんて思ったんだろう?)  いつもは冷凍麺や事前に炊いたご飯を使ったもので夜食を作るのに、わざわざ僕がバイトに出掛けた夕方から手作り餃子を仕込んだ花ちゃんの行動に少し引っ掛かってしまった。 (それに……餃子っていうチョイスがなんとなくスタミナ食を想像してしまうというか) 「そういえばこれって、ニンニク入ってるの?」  もしかしたらこれは僕が過剰な期待をかけ過ぎているのかもしれなくて、ニンニクの有無を問うようなこの質問は自惚れ行動かもしれない。   「ニンニクは入ってなくてショウガを効かせてるタイプの餃子だよ。あー、でもニラは入ってるかな?」 「ショウガとニラなんだねすっごく美味しそう♪いただきまーす!!」  僕はとりあえず馬鹿みたいに元気良く両手を合わせて食べ始めたんだけど……
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