花から求められる犬と、主人との約束

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「グロスは食べ物じゃないのよ」  花ちゃんは可愛い癖して僕の眼差しを(あし)らう術を心得ている。 (本物の飼い主みたいだ……)  2度目のお風呂というイベントを前にして、僕の胸はチクリと傷んだけれども (それでいい……それがいいんだ、僕は)  ハッキリとそう思い直してニコッと笑ってやった。 「タイチはイタズラが大好きなんだからっ!ほら、立って。最後のを脱がしてあげるから」  花ちゃんは僕と立ち位置を替えるようにしゃがみ込み飼い主の義務のような手付きでボクサーパンツをズルッと大胆に下ろして脱がせる。 (でもやっぱり花ちゃんには僕の下着をゆっくり脱がして欲しかったなぁ)  仕方がないと理解していても情緒ってモノを欲してしまう自分の愚かさに恥ずかしくなったんだけど 「でもあの下着の脱がせ方、興奮しちゃった♡」  再び立ち上がって見せてきた花ちゃんの表情には純粋な可愛らしさも飼い主らしさも抜けていて 「ほんと?」 「うん♡」  僕の脱がし行為が嬉しかったというニュアンスの吐息をかけてくれた花ちゃんが愛しく感じられ、脚の付け根へと流れる血液の量が増えていく。
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