俺の正体

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俺の正体

「さて、あなたの種類なんですが…」 「種類?んなもんただのデカい虫だろ?」 「はあ…」 若い獣医は大きくため息をついた。 「いいですか?あなたは見た目、甲虫のようです」 「甲虫?なにそれ」 「文字通り甲羅をしょってる虫ってことです。カブトムシとかクワガタとか…」 「おお、かっちょいいな。俺ってカブトムシだったのか!」 「ですからそれはあくまで種類、ということです」 俺は甲虫と言われてもピンとこない。カブトムシって言うのならそれでいいじゃないか。 「べつにどうでもいいだろ?」 「どうでもよくありません。あなたの正体がわからないと困るんですよ。いろいろとね」 困る?だれが?なんで?
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