理不尽な敵意

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理不尽な敵意

玄関から外に出る。もちろん靴は履けなかった。まあいまさら裸足なんて気にならないけど。 電車に乗ろうと駅まで行った。まあわかっていたが、この姿で電車に乗れるわけはなかった。つまりひとことで言うと駅はパニックになった。電車も止まる騒ぎだ。パトカーまで来やがったので、急いで駅前に出る。 金はかかるがしかたがないのでタクシーを使うことにした。駅前にいるやつを見つけて、急いで乗ろうとした。いったん開いたドアを閉めようとしやがった。だから半ば強引に乗車してやった。運転手は相当ビビっていたみたいだが、逃げださないのには感心した。よっぽど車が心配なのだろう。 「どどどどどどどひらまで?」 「おかしな挨拶だな。そんなのはいいから有楽町に行ってくれ」 「あのあのあのあのあの」 「なにも気にするな。そういうこともある、みたいなノリでたのむ」 「ひいひいひいひい」 運転手はときおり白目をむきながらタクシーを走らせた。そりゃとんでもないスピードだ。早く俺を降ろしたいに違いない。信号なんかまるで無視している。虫を乗せてるだけに。
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