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「ねぇ、この前のデートのときにの急用、なんだったの?」
私がそう彼に話しかける。
彼は相変わらず、スマホから目を離さない。
「仕事の急用ができたんだ」
そう彼はすぐに言った。
「それ、違うでしょ」
「はっ?」
私の言葉に反応して、彼は珍しくこちらを見た。
よし、ここからだ。
「私、後を追ったんだ。最近、なんだか冷たいなって思って。そしたらさ、こんなものが写ったんだよね」
そう私はスマホを取り出して、証拠写真を出す。
彼はピクリと眉を本の少しだけ動かした。
「これで言い逃れはできないよ? この女、誰?」
「か、会社の同僚だよ、待ち合わせをしてたんだ」
あぁ、この人はまた平気で嘘をつく。
でも、言い逃れはできない……そう言ったよね?
「私がそれだけだと思った?」
私はスマホの画面をスクロールする。
そこにはもう一枚、彼と女のツーショット写真があった。
その写真は彼が女をエスコートしている写真。
決定的な証拠だ。
「あなたは付き合い始めるときに飲食系では働いてないって言ってた。だからもう、これで確定よ。あんた、浮気してるでしょ」
私は怒りの雰囲気を全面に押し出して言ってみる。
そして、彼の顔がひきつった。
彼が悔しそうに下唇を噛む。
これは浮気をしている反応だ。
あいつを徹底的に潰せるチャンスだ。
私は両手で拳を作って、グッと握る。
私は歯を噛み締めて、顔を下に向けた。
「……して」
低い声が聞こえる。
一瞬、自分でも本当に自分の声なのか疑った。
今まで、こんな声、出したことがなかったから。
「えっ?」
彼が聞き返えす。
私だって今まで、散々な目に会った来たんだ。
少しぐらい溜まったストレスを発散してから帰りたい。
だから、ガツンと言ってやる!
「いい加減にして……!」
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