ナサと冒険(五)

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ナサと冒険(五)

 ドラゴンはあそび疲れて、奥のテーブル席でリヤとカヤとなかよく寝ている。 「おい、リーヤ見ろよ。かわいい」 「ほんと、可愛いわね」 「うん、うん、可愛い」 「可愛いなぁ……俺も、ミリアとの子が欲しくなった」  ――子供。わたしも欲しいな。 「ちょっと、みなさん。ひとり者の私がいることを忘れていませんか?」 「なんだよ、お前も結婚しろよ。好きな人いるくせに」 「うっ、いますけど……結婚はまだはやい」 (なぬ、ロカさんにもついに春がくる!)  わたしとミリアはロカがいるテーブルに座った。それは誰だと聞くため。女性は恋話が好きなのだ。  二人に責められて照れるロカを、ナサとアサトはカウンターで笑いながらみている。リヤとカヤも弟ができて嬉しそうだった。  ――みんなに幸せがくる。    騎士団に戻る時間になり、みんなは戻っていく。新婚のアサトとミリアはわたしたちよりも大人な仕草で、みんなの前でも気にせず、頬すりして「終わっらいく」と言って、アサトは戻っていった。 (うわぁ、大人だわ)  ナサとわたしはそんな二人に照れる。ロカは根掘り葉掘り聞かれて、つかれて戻っていく。リヤとカヤはドラゴンに「またね」と戻っていった。  ドラゴンも二人に「キュ!」と羽を振っている。 「シッシシ、オレも終わったら行くから」 「うん、待ってるね」  ナサを見上げると、チュッと軽くキスされた。    明け方、ベッド眠るドラゴンを起こさないように起きて。甘めの卵焼き、サンドイッチ、ホットドッグ、ナサの好きなものを作る。 「キュ?」 「ドラゴンも起きたの? もうすぐ、ナサが帰ってくるからね」 「キュ――」  キッチンで、ドラゴンと二人「これはどう?」「キュ」と、味見をしながら料理をつくっていた。玄関があき「ただいま」とナサが仕事から帰ってくる。 「おかえり、ナサ」 「キュ」 「おお、ドラゴンも待っていてくれたのか? ただいま」  ドラゴンをなでると、ナサに飛びついた。 「ナサ、お風呂にする、ご飯にする?」  風呂だなと風呂場に行く、その後を、テクテクとついていくドラゴンが可愛い。お風呂場から「ドラゴンも風呂に入るか」「キュ」と聞こえた。  わたしはお風呂場から聞こえる二人の話に、微笑み、ナサの着替えと二人分のタオルを用意した。    食卓を囲み、三人でのご飯が始まる。 「どう? 美味しい」 「キュ」   「リーヤのご飯は美味いだろう。たくさん食べろよ」 「キュ」    楽しいみんなでの食事が終わり。「また後で」ナサは騎士団へと向かい、わたしはミリア亭にむかった。ミリア亭について早々、ミリアは連れてきたドラゴンを抱っこする。 「可愛い、ドラゴンちゃん」  ――ミリアさんも、小さいドラゴンにメロメロだ。      今日の気まぐれはミートスパゲッティとスープ、サラダ。ミリア亭の日替わりはガッツリステーキ丼。  ドラゴンは店が始まっても、おとなしくしていて。カウンターでわたしたちの真似をして、おとずれたお客にあいさつした。 「キュ」  おとずれた客はドラゴンに驚くけど、みんな可愛い姿に癒された。      ドラゴンが来て二日過ぎたころ、王都の上空にドラゴンが二体現れた。騎士団は慌てふためき、亜人隊はドラゴンの両親がきたとアサトが声をかけ、北区の門のところまで誘導した。  ナサはわたしを呼びにミリア亭にやってくる。    「両親がドラゴンを迎えにきた、北門に連れていくぞ」   「はい、ドラゴンいくわよ。ミリアさん、行ってきます」  厨房のミリアに声をかけて、ドラゴンを連れて北門に向かった。    二体のドラゴンは下に降りれないとわかると、人型になり舞い降りてくる。竜人というよりドラゴンに近い姿。 「ワタシタチノ、コドモ」 「コドモヲ、アリガトウ」 「いま仲間がドラゴンを連れてくるから、待ってくれ」  北門の外で話すアサトと、ドラゴン夫妻の元に子どもを届ける。ドラゴンは自分の両親だとわかったのか、わたしの手から離れて飛んでいき両親に抱き甘えた。 「ムスコ、ヨカッタ」 「キュ、キュ――、キュ」 「ソア、タイセツニ、シテモラッタノネ」  両親に甘えるドラゴン、ご両親に会えてよかった。過ごしたのは短い間だったけど楽しかった。両親に甘えるドラゴンをみていた、隣にいるナサがわたしの腰を引き寄せて。 「リーヤ。寂しいが、よかったな」 「ええ、ナサ」  わたしたちは巣へと帰って行く、ドラゴンの親子をを見送った。 「元気でね、ドラゴン。たくさん食べて、大きくなってね」   「いつでも遊びにこいよ!」 「キュ――――――!」    その数ヶ月後――ミリア亭にわたしのご飯を求めて、ドラゴンの親子が現れたのだった。                 *おしまい*
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