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ナサ
リーヤには言っていないけど、オレは一目で恋に落ちたよ。亜人達が住む北区にある、定食屋ミリア亭に来た可愛い女性。
オレ達ーー亜人を少しも怖がらなくて、普通に接してくれる。
なんでも学園にいたころは騎士団を目指していた?
何々、オレと戦いたい?
見た目も、力の差もあるオレと?
(はぁ? ワーウルフと戦って怪我をした……)
あの時、守れなかった自分が情けなくて、リーヤにやつあたりして、酷いことを言って彼女を、傷付けた。
オレは守りたいんだよ。
初めての気持ちだ。
リーヤの笑った顔も、泣きた顔、怒った顎、照れた顔、全部オレのものだ。アサト、ロカ、ミカ、髭ジー、リモーネ、他の奴らにはぜってぇ見せてやんねぇ。
リーヤはオレのだ!
いまオレの横で気持ちよさそうに寝てるリーヤ。
シッシシ、リーヤの小さなベッドはオレの重みに耐えられず、ぶっ壊れた……。
その日は二人で驚き、大声を上げて笑ったな。
「嘘だ、ベッド壊れちゃった」
「ああ、壊れたな……ごめん」
「ナサのせいじゃないわ、二人で壊したのよ……フフッ」
「シッシシ、そうだな」
いまは丈夫で、二人で寝ても余裕な、ベッドに買い替えた。
「………っ」
リーヤの寝顔ーークソッ、可愛い。
オレの情けないところ、嫉妬深いところ、意地悪、全部を受け止めてくれる。
生涯、お前だけだ、愛しているよ。
「…ん? おはよう、ニャサ」
「おはよう、リーヤ」
目覚めのスリスリと、軽めのキス。
オレは騎士団で訓練、リーヤはミリア亭か……
「そろそろ、起きないとな」
「ふわぁい。顔を洗ったら朝食を作るね」
お揃いのシャツとズボンはベッドの下。
リーヤは下着のままモソモソ、ベッドから降りてシャツを着て出ていく、いつもの光景だ。
「ナサのタオル、テーブルの上に置いておくね」
「さんきゅ」
オレもベッドから出て、自分のシャツを探す。
あれ、リーヤのシャツはここにあるのに、オレのシャツがない?
まさかと、ズボンだけで寝室をでると、キッチンで朝食を作るリーヤは、大きなオレのシャツを着ていた。
(オレのシャツを着るリーヤ、これは色々とヤバイ……もう一度、ベッドに連れ込みたい)
いまは我慢だ。
「シッシシ、リーヤはオレのシャツが好きだな」
「え? あっ、ほんと、どおりで大きいはずだわ。……ごめん、間違えちゃった」
と、微笑む彼女は可愛い。
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