プラスチックの悪魔

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 それは、単なる半透明の水色だった。 「なに、それ」  恋人の人差し指とプリントの間にあるそれを観察しながら、僕は問いかける。 「あ、気づいた? 買ってもらったの!」  僕の視線の先を追った彼女が、その物体を拾い上げ、掲げてみせる。  僕が普段使っている定規程度の大きさの長方形。厚さは画用紙程度だろうか。素材はおそらくプラスチック。  得体の知れないその水色が、彼女の親指と人差し指の間でくねくねと曲がる。彼女はそれを自分の目元に引き寄せて、その奥から僕にいたずらっぽい眼差しを向けた。文字通り、のように。  水色に染まった彼女の瞳が、明るくきらめく。    半透明のプラスチックが、僕らの間に境界線を引いていた。
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