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Secrets Vol.1
だから!
そういうのナシでしょって思ってたの。
男女男の3ピースのバンドでバンド内恋愛って。そんなの、恋の終わりがバンドの終わり。
だから、ナシって思ってたのに。
無し、だったのは、わたしだったのか。
「どっちが攻め?」
わたしは鞘から取り出した枝豆を投げつけてやりたいところを、ぐっとこらえる。
「果林ちゃん。相手がゲイだからってさ、セックスのこと真っ先に聞くのは失礼だよ」
ソウデスネ。
「どっちから、告白したの?」
「えっとねえ」
わたしの問いに、しーちゃんが女の子みたいなすべすべのお顔をピンクに染めた。
しーちゃんがベーシスト。かわいい顔と小柄な身体に似合わない、ぶっとい重低音。
女の子みたいに可愛くて、BLマンガ好きの、男の子。
わたしとしーちゃんはBLマンガ仲間で、気が合って、バンドも一緒にやろうってことになった。
あれ、バンドが先だっけ? マンガだったっけ?
ドラムをやってくれるように唯くんに頼んだのは、わたし。
唯くんはジャズとか好きみたい。育ちが良さそうなの。ポロシャツとか着ちゃうの。
そんな唯くんが、いまいち楽しいんだかよく分かんない表情で、パンクなドラムを叩かされてる姿が面白いだろうと思って、わたしが誘った。
誘ったのはセックスにじゃなくてバンドに。もちろん。
それで、結局のところ、唯くんをセックスに誘ったのは、しーちゃん。
「告白したの! 誘ったんじゃなくて」
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