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この町内で唯一と言っても過言ではない比較的大きな交差点を渡り、小学校のグランドを横目に流れる小さな川の川沿いを歩いていくと、その店はひっそりとそこに存在した。
レトロといえばその通りなのだが、古くてボロボロと形容していい建て構え。横滑りのガラス戸をカラカラと開ける。
「わあっ!」
隣で沙里の感嘆の声を聞いた。
「駄菓子がめっちゃある‼︎」
興奮する沙里を玄関に置いて、私は奥へと進んでいく。中から出てきた恰幅の良い中年のおばさんに声を掛けた。
「こんにちは」
「いらっしゃい、今日はお友達と一緒なの?」
「はい」
沙里が横でぴょこんと頭を下げる。シロツメクサの花冠が落ちそうになって、慌てて手で押さえた。私はそんな沙里に小さなカゴを渡し、迷路のような店内をゆっくりと見て回った。目当ての駄菓子二個と目新しい駄菓子を一個、カゴへと放り込むと、おばさんに渡してお金を払う。
「四十二円ね、いつもありがとね」
くるりと振り返って沙里を見ると、駄菓子を選んでいるだろうと思っていたのに、予想に反してその場に立ち竦んで、キョトンとした顔をこちらに寄越していた。
「決まった?」
「……あ、うん、じゃあこれ」
沙里が渡したカゴの中を覗き込む。その独特なラインナップ。
「渋いな」
笑いながら顔を上げると、沙里の戸惑ったような顔に出くわした。
お金を払って店を出ると、私は今買ったチョコレートの包みを開けて、口の中へと放り込む。
「なになにどした?」
沙里も同じようにして、アメを口に入れる。
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