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プロローグ
あのね、海賊ギルトスについて色んな伝記作家が書き残しているけれど、どれも少しずつ間違っているの。彼は、人の耳を切り刻んで食べたりしなかったわ。彼は、生きたまま捕虜に火をつけて燃やしたりもしていないのよ。
だけど、短い海賊人生の中で407隻の船を襲撃したというのは本当なの。
泣く子も黙る天下の大海賊と言われていたけれど、誰よりも優しくて繊細な人だったのよ。彼は、真面目に働いていたわ。彼が海賊になったのは貧しさに押し潰されたからなの。
彼は、ある時、私を誘拐してしまうの。私を一途に愛していたの。そのことが原因で、彼は、色々と追い詰められてしまったの。
最後に彼は破滅して海に消えて泡をとなって消えていったのよ。そうするしかなかったのよ。さようなら。私は泣きながら、彼を見送ったわ。
いいわね。よく聞きなさい。今から、お母さんが語ることこそが彼に関する真実なのだから……。
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