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「確かに、お師匠様が怪我をなさっている所など見たことがないです。」
「当たり前だ。怪盗になる前に、どれだけ修羅場をくぐり抜けてきたと思っている?」
「修羅場……ですか。」
実際、彼は表舞台に出て以来、怪我などしたためしがない。どれだけ強力な罠が仕掛けられていようと、全てあっさりと回避してしまうのである。
「ああ。何度も命を狙われ、殺されそうになった。思い返したくもない過去だ。」
「……お師匠様って一体、何者なんですか?」
「うん?」
「前から思っていたんです。お師匠様、匂わせることはあれど過去の話は一切しないし、何よりも素顔すらお見せにならないじゃないですか。何か、深い理由でもあるのでしょうか?」
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