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もっとも、この幼子――チャーリーと名付けられたのだが――はこのような複雑怪奇な事情など知る由もない。だが全てを知っている母カリンが、徹底してレオナルド2世を遠ざけながら養育したので、彼は義父とはほぼ関わりを持つ事なく成長した。
そのため、レオナルド2世からしてみれば、チャーリーに対して情など湧くはずがなく、時たま彼と会うときも憎い女の子供としか思えなかった。
もちろんチャーリーも、父が自分に向ける憎悪には気がついていたものの、その理由については全く心当たりがない。何度か母に聞いてみても、全てあの人が悪いのだから気にするなと言われるばかりで、何も教えてもらえなかった。よって、元々気弱な性格の彼はますます混乱し、父を見る度にそそくさと逃げるようになってしまった。
つまり、この二人には全く罪がないにもかかわらず、無意識のうちにお互いを傷つけ合い、そして傷つけられていたのである。
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