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プロローグ
「お師匠様。無事にスタールビーを入手致しました。」
「……無事にという割には、あちらこちら怪我をしているようだが?」
「すみません、少し罠に苦戦してしまいまして……。」
あちこちに切り傷や火傷痕が目立つ弟子に対して、仮面越しに鋭い視線を飛ばしている男こそ、この物語の主人公たる怪盗Zである。ここ、ベルー公国を拠点にして活動している怪盗だが、あまりにも華麗に獲物を奪っていくことから、その名は世界中に轟いている。
そんな彼の元で腕を磨くため、世界各国から怪盗の卵が修行に来ているのだが、ご覧のようにダメ出しを受けてばかりだ。
「いいか。スタールビーを奪えて満足しているようだが、怪盗と名乗る以上、獲物はとれて当たり前だ。」
「うう……。では、一流と二流を分けるポイントは何でしょうか?」
「獲物を奪う手法だな。真の怪盗になるためには、派手に、そして華麗に振る舞わなければいけない。だから、間違っても怪我なんかしてはいけないんだ。怪我をするのは人間であって、怪盗ではない。」
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