第六章 愛してます

4/9
前へ
/80ページ
次へ
「いい作品だったな」 「僕、感動しました」  まだ目の少し赤い蓮は、パンフレットを片手に喜びを噛みしめている。  映画館、楽しかった。  作品も、素敵だった。  なにより、巴さんと一緒に観られたのが、良かった! 「ハンカチ、洗って返しますから」 「気にしないでいいのに」  その後は、気の張らないフレンチで、ランチ。  少しショッピングをして、お茶。  最後に巴は、花屋に立ち寄った。 「お花、買うんですか?」 「うん。ちょっとね」  深紅のバラを、18本。  蓮の、年齢の数だけ選んだ。  花束にしてもらい、大切に腕に抱いた。
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

354人が本棚に入れています
本棚に追加