354人が本棚に入れています
本棚に追加
第一章 撮影開始
篠原 蓮(しのはら れん)は、街中をとぼとぼと歩いていた。
少し、下を向いて。
にじんでくる涙を、こらえながら。
それでもこぼれる涙を、ぬぐいながら。
蓮は、今日バイトを辞めた。
「がんばって、正社員になろうと思ってたのに」
原因は、店長だ。
第二性がオメガの蓮に、親切にしてくれていた。
最初は。
次第に彼は、蓮にセクハラを働くようになっていった。
お尻をポン、と叩かれるうちは、蓮も単なるスキンシップだと思っていた。
だがそれが、エスカレートしていって。
「子どもが二人もいる、お父さんなのに」
だのに、昨日はその手が前に伸びて来た。
服越しではあるが、性器を撫でられたのだ。
蓮は、もう我慢ができなかった。
そして、バイトを辞めた。
最初のコメントを投稿しよう!