第四章 二人の想い

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「嫌ではないのか? 怖くはないか?」 『お仕事なので、仕方がないと思っています』 「君はその……。そういう行為をやったことが?」 『あります。ですから、未知ではないんです』  だから、怖くはない、と蓮は言う。 『僕、オメガなので時々性暴力を受けてたんです』 「何!?」 『お仕事だったら、ちゃんとお金ももらえるでしょう? ですから、まだマシなんです』 「何と……」  巴は、絶句した。  今時の若い子は、こうも淡々と自分の性歴を言えるんだろうか?  しかも、暗い過去を。 『巴さんだから、打ち明けました。五木さんたちには、内緒ですよ?』 「私だから話した、と」 『はい。やっぱりこういうことは、秘密にしておきたいです』 「蓮」 『はい?』 「今から、もう一度訪ねてもいいか?」
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