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オレンジ色のダウンライトの下、ベッドに横たわる蓮の裸身は美しかった。
まるで、優しい春の月のようだ。
「巴さん、お願いがあります」
「何かな」
「巴さんも、服を脱いで欲しいんです」
巴は、ためらった。
服を脱げば、彫り物が嫌でも蓮の目に入る。
それが、いたたまれなかった。
だが、蓮は願って来た。
「僕を犯した人たちは、みんな服を着たままだったんです」
一度も、愛する人と肌を合わせたことがない。
それが、蓮には悲しかった。
「僕、素肌で巴さんを感じたいんです」
「辛かったな、蓮」
解った、と巴は服を脱いだ。
背中だけではなく、肩から腕に掛けて竜の彫り物が躍っている。
「怖くはないか?」
「大丈夫です」
仰向けになり、蓮が腕を伸ばしてくる。
その手を取り、巴は彼に重なった。
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