第五章 恋

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「君の、両親は?」 「知りません。小さい頃から、施設にいましたから」 「そうか。すまないな、不躾なことを訊いて」 「いいえ。でも、どうして?」 「いや……」 (結婚が視野にちらついた、とは言えない!)  さすがに、早急すぎるだろう。  それに、一度抱かせてもらっただけで、結婚したいとはあまりに思考が浅い。 「撮影は、いつ?」 「14日です」  そうか。   4日後か。  蓮はそのまま、とろとろと眠ってしまったが、巴は目が冴えてしまった。 (蓮が。この体が、男優に抱かれる……!)  それは、仕事だ。  男優だって、好意を持って抱くわけじゃない。  ビジネスなんだ。 「だが、落ち込むなぁ……」  安らかに眠る蓮の顔を見ていると、胸がキリキリと痛む。
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