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「こんな気持ちは、初めてだ」
今まで、推し活をやっては気の張りを保ってきた。
その手に抱いた、推しもいる。
だが、蓮は特別だ。
単なる推しでは、なくなってきている。
「私は、恋をしたのか? この一回りも年下の子に」
いいのかな、と額に手を当てる。
「私なんかが、蓮を好きになってもいいのかな」
『君の、良くない癖だ。もう『僕なんか』と言うのは止した方がいい』
以前、巴が蓮に贈った言葉だ。
まさか、自分に跳ね返ってくるとは。
蓮は、私に好意を持ってくれている。
現に、こうやって体を任せてくれたじゃないか。
「だったら。だったら、彼を正式に恋人に……」
そこまで考えて、頭を抱えた。
「推しが。推しが、そのまま恋人に、とか……!」
恥ずかしい、恐れ多い、もったいない。
複雑な感情が、入り乱れる。
「とにかく、今夜はもう寝よう」
そして、明日。
「明日、蓮に訊いてみよう」
私と付き合ってくれないか、と。
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