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「いや、待ってください。映画を作るとなると、大ごとですよ!? 監督をはじめ、スタッフを大勢集めなきゃいけない」
「問題ない。監督は、五木くん。君だ」
「何ですって」
「出資に糸目は付けない。優秀なスタッフを、いくらでも雇っていい」
僕が、映画監督……!
五木の胸は、躍った。
いつかは、と密かに灯していた夢が、現実のものとなるのだ。
(加賀さんは、本気だ)
五木は、腹をくくった。
「赤字になるかもしれませんよ?」
「構わない」
「評論家に、叩かれるかも」
「言いたい奴には、言わせておけ」
「本当に、いいんですね?」
「くどい」
では、と五木は巴に手を差し伸べた。
「やりましょう!」
二人の男は、がっちりと握手をした。
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