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〜プロローグ〜
ミルクティーベージュ色の長く綺麗な天パ髪を揺らしている女の子は開かれた車の扉から降りた。
その姿は誰もが振り向くほどに綺麗な少女だった。滑らかそうな真っ白い肌はほんのりとピンクに帯びている。まるでおとぎ話の絵本から飛び出してきたかのような少女は母親であろう女の人と手を繋いである大きな豪邸へと歩き出した。
❀✿❀✿
─────────ピーンポーン
と軽やかな呼び出し鈴が鳴る。
「はいはい」
と爽やかな男の人の声が聞こえた。そして、ガチャとドアが開いた。出てきたのは、紳士な服装に身を包んだかっこいい男の人が柔らかな笑顔を見せていた。
「来ましたか、待っていましたよ!実花さん。それと毬ちゃん」
「私もこの日を待っていました。光久さん」
そう言って、2人は幸せそうに目を細めて会釈する。少女はその様子にぱちぱちと目をしてドギマギしながら眺めた。それに気づいた、光久さんと呼ばれた男の人は笑顔で呼びかけた。
「さぁ、おいでおいで。毬ちゃん。実花さんも」
と少女は手を引かれながら、中へと入った。
「お父さん、この子…だれ?」
リビングルームにぬいぐるみやら車のおもちゃが散らばめた5人の男の子が呆然と少女を見つめながら、一人の男の子が口を開いた。
「お前たちの妹になった子だよ」
と光久は笑顔で伝えた。
❁✿✾ ✾✿❁︎
「ねぇ、君の名前はなんて言うの?」
「わ、私の名前は…毬……です」
「毬?かわいい名前だね!じゃあ、きゅーちゃんって呼ぶね」
と綺麗な茶髪で前髪をお洒落にピンで止めた男の子は明るくそう言って、毬を抱きしめた。
毬は驚きのことにバクバクと心臓を鳴らし、口をパクパクとさせた。そんな様子に気づいた周りにいる男の子たちが次々と言った。
「おい、ビビらせてる」
「そうそう、最初っから抱きつくのはかっこ悪いよ」
「ちゃんと俺らも自己紹介するべきだ」
「驚かせちゃってごめんな!」
抱きしめてきた男の子はムーと口を尖らせてプンプンと言うように頬を膨らました。
「そうだけどさ、僕のやり方だから、文も充兄も律兄も乙兄も口出ししないでよ。ってことで、僕の名前は純。よろしくね、きゅーちゃん!」
「純…お兄ちゃん?」
「そうそう!お兄ちゃんだよ〜」
純はお兄ちゃんと呼ばれたことに嬉しく思い、またも抱きつこうとしたが、乙にグイッと頭を引っ張られ、引き離された。
「はいはい、純の自己紹介は終わりな。5つ子の俺らの中で一番上の兄、乙。よろしくな!」
「5つ子……?」
「そう、充たちは5つ子なんだ。珍しいでしょ。充は三人目なんだ」
と充と言った男の子は言った。
「充の自己紹介は終わったか?俺は二人目で名前は律…だ。よろしく」
「俺は四人目の文。いつも純の面倒をしっかり見てる担当してる…。純になんかされたら俺をすぐ呼ぶといいよ」
と文は純を見て、ひと笑いした。純はプンスカと怒った顔を文に向けた。
「文、ひどいな〜。きゅーちゃんにそんなこといわなくていいよ!」
一通り、5つ子の男の子の自己紹介が終わり、毬は男の子たちを見回した。男の子たちは芸能人と行っても過言ではないほど綺麗に整った容姿をしていた。
乙はレッドブラウンの髪色でストレートヘア。エネルギュシュなリーダー性質が一際、雰囲気から滲み出ていた。律はアッシュブラックの髪色でマッシュルームヘア。優等生な雰囲気がよくわかる。充はコーラルピンクな髪色であちこちに跳ねた髪型。にこやかな笑みが穏やかな性格を表している。文はスモーキーベージュの髪色で左右に前髪を分けている。この中でとても落ち着いている性格なようだ。
そして、純はハイトーンミルクティの髪色。前髪をいくつものゴールドのピンでお洒落に止められている。この中でも人なっつこそうな笑顔が魅力的な末っ子気質がうかがえる。
────────「 改めて、きゅーちゃんようこそ!小桃家へ!」
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